FY25 JDA Forum(2025年12月2日)において登壇いただいた、福岡地区水道企業団 海水淡水化センターの廣川様によるご講演「福岡海水淡水化センター20年の運転実績と今後」を基に、NPO法人JDA協会は海水淡水化センター様と共同で、International Desalination and Reuse Association (IDRA)に寄稿文を提出しました。
本寄稿文は、IDRAが発行するGlobal Connection (Winter 2026)に掲載されています。また、同内容は、IDRA公式サイト(リンクはこちら)にてご覧にいただけます。
以下に、日本語対訳を掲載いたします。
NPO法人JDA協会は、今後もIDRAと連携し、海外への情報発信に積極的に取り組んで参ります。
福岡海水淡水化センター20年の運転実績と今後
福岡地区水道企業団の概要
福岡地区水道企業団は福岡都市圏10市7町で構成され、都市圏の約4割の水道用水を供給する。地域内に一級河川がなく、度々渇水が発生したため、筑後川からの導水や海水淡水化など多様な水源確保策を進めてきた。
海水淡水化センターの設立背景と特徴
福岡都市圏は水の自給率が低く、天候に左右されない安定した水源確保が課題であった。2005年に海水淡水化センターが竣工し、逆浸透法による最大5万㎥/日の生産能力がある。比較的降雨に恵まれた日本において、福岡海水淡水化施設は日本最大規模を誇る。施設の特徴として、世界初の浸透取水方式やUF膜による前処理、逆浸透膜の高回収率、濃縮海水の下水処理水との混合放流などを挙げることができる。これにより、放流先の博多湾の環境保護・水質保全やコスト削減に寄与している。
運転実績とコスト削減
運転開始から20年、年間平均2万~3万㎥/日を造水するが、渇水時にはフル稼働も実施している。膜の交換周期延長やUF膜の洗浄頻度削減、工事での新技術導入などコスト削減策を積極的に展開している。
設備更新と課題
設備更新では、スペース不足や高額な維持管理費、工事費の平準化などの課題に対応している。浸透取水によるSDI1程度の良好な水質を考慮したUF膜省略、ポンプ能力の見直し、動力回収装置を圧力交換方式へ変更により動力費を削減する。2022年から36年まで段階的に更新工事を進める計画を保有する。
今後 浸透圧発電の実用化へ
2025年8月より、下水処理水と濃縮海水を利用した浸透圧発電施設が稼働開始した。未利用資源を活用したクリーンエネルギーで、実稼働率は90%と高効率である。発電出力は水量と圧力のバランスが重要で、最適圧力(約3MPa)で最大出力を得ている。実用化事業は福岡市、福岡地区水道企業団、民間企業の三者共同で推進され、5年間の検証を経て世界への展開を目指す。
結論
福岡海水淡水化センターは、日本における統合的な水資源管理、環境保全、技術革新のパイオニアです。世界に先駆けて導入した浸透取水方式は、20年運用を経た今も良好な機能を維持している。運転改善、戦略的な設備更新、再生可能エネルギー技術の導入を通じて、福岡都市圏およびその先の持続可能な水供給と環境保全に重要な役割を果たしています。
報告者
福岡地区水道企業団 施設部 海水淡水化センター所長 廣川憲二
NPO法人JDA協会 理事 松井康弘
