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高分子学会誌「高分子」の特集 「水の時代における高分子(2002年)」と「水と共に活きる(2025年)」の比較

23年経過し「水の時代の高分子」は、どんな進歩をしたのか?

高分子学会の ’高分子‘ の特集に水と高分子が2回掲載された。2002年から2025年で4半世紀が経過している。何が進歩し、何が変わり、新しい技術が向かう市場は?

を考えてみました。


51巻7号 (2002)より

 2002年版では、小見山二郎先生が、「21世紀、水の時代における高分子科学の役割」として、高分子と水にかかわる課題を取り上げている。今から見ると、高分子の物理化学的視点の研究が多い。また同号では、工学的分野として、大矢晴彦先生が、”水処理用高分子膜の新しい潮流“としてまとめておられる。この中で注目すべきは、新しい分野として中東での農業用水が、海水淡水化に引き続き発展していくと予測している。本件は、中東に限って言えば、現時点で期待したほど発展していない。

 しかし、2021年のIDRA国際学会(スペイン)で今後対応すべき重要分野として議論された。今後進歩がみられるかもしれない


743(2025)より

 加藤隆史先生が、「水の立場から見る高分子科学」として、「水圏機能材料」という概念で水と高分子をとらえている。この特集号では、比嘉充先生らが、「高分子水処理膜の開発トレンド・最新動向」としてまとめておられる。FO膜、カーボンナノチューブ膜に継いで、圧透析による海水淡水化技術の実用化(モザイク荷電膜)について触れておられます。2025年度のJDA Forum でもポストRO技術の一つとして比嘉先生から紹介される予定です。

 伊藤喜光先生は、「次世代海水淡水化膜の新しい設計指針」として、「フッ素化ナノチャネル」の概念を提案されています。具体的な海水淡水化膜への道のりを経て具現化されることを期待しています。