世界経済フォーラムWEFのUpLink Challenge にて選ばれた水分野のスタートアップ
UpLink は、世界経済フォーラム(WEF)が2020年のダボス会議で発足させた、起業を通して地球規模の課題の解決に寄与するための仕掛けで、革新的なベンチャー企業を掘り起こし、それらを影響力のある様々なネットワークに接続することを目指しています。
UpLink は、UpLink Challengeという競争フレームワークを通じて新たなイノベーションを掘り起こします。各課題ごとにチャレンジャーから10前後のTop Innovatorsが選ばれて、WEFが関係する様々なネットワークを通じて事業拡大の機会が与えられます。
UpLink Challengeのうち、淡水生態系を保護し、回復する革新的なソリューションを見つけることを目的としたAquapreneur Innovation Initiativeは、ITサービスの世界的企業であるHCLが資金を提供して設立、ARUP、PA Consulting、 Xylem、The Nature Conservancy(世界的な環境団体)、オランダ王国国際水問題担当特使の協賛で推進されました。
応募した134のベンチャー企業の中から、今年2023年1月に以下の10のベンチャー企業がTop Innovatorsとして選ばれています。各企業の事業内容を抜粋し、以下に紹介します。
(1)bNovate Technologies(スイス)
→飲料水などの中の細菌数を現場で迅速測定するFlow Cytometry ベースのポータブル型機器と管路網等でのセンシングシステムの提供
(2)Epic Cleantec, (米国)
→生物処理と膜処理を組み合わせた、ビル用オンサイトの水.熱のリサイクルシステム
(3)Indra Water (Inphlox Water Systems Pvt. Ltd.)(インド)
→電気凝集、電気酸化その他を組み合わせた分散型の水リサイクルシステム
(4)Kilimo (アルゼンチン)
https://www.kilimoagtech.com/home-english/
→灌漑ソリューションの提供により灌漑水の削減を実現。炭素クレジットと同じように水ニュートラルを目指す企業が灌漑での節水実現量クレジットに見合う金額を農家に支払うという事業モデルも展開。
(5)Majik Water Technologies(ケニア)
→冷凍サイクルで空気中の水分を液化しRO膜で飲料化
(6)NatureDots Private Limited(インド)
→地理情報、水文モデル等による陸水digital twinとIOTなどを通して結合する実世界データから構成される陸水CPS(Cyber-Physical-System)及びデータ解析AIにより地域水環境や生態系の予測と危機低減シナリオ作成。内陸淡水漁業向けソリューションなど。
(7)Oneka Technologies(カナダ)
→波による海面の上下動(波高1m以上)でポンプを駆動してRO膜により海水を淡水化
(8)Openversum(スイス)
→細菌、重金属その他汚染物を除去して飲料水を作るポータブルで高性能な浄水キット。現地コミュニティで事業体を立ち上げて連携して事業を推進。そのために製作方法や事業ノウハウなどを提供して現地での事業化を支援するプラットフォームを構築。
(9)RainGrid Inc.(米国)
→雨水を屋根から雨樋を通して収集し貯留するタンクの個人向け事業。加えてタンク内貯留量測定や排水をIOTで遠隔実施、雨量予測に合わせて地域での雨水貯留可能量を最大確保して流域の河川負荷を低減する自治体等向けシステム事業。
(10)Wateroam Pte Ltd(シンガポール)
→その場で飲料水を作れるポータブルの手押しポンプ型フィルターシステム。