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FY2021 JDA FORUM 講師及びご講演概要の紹介

JDA FORUM(12月9日開催)の講師及びご講演概要を紹介します

第1部「水ビジネスの現状と展望、海外展開に向けた今後の方向性」

  

講師: 高崎 早和香 様

経済産業省 製造産業局 国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室 企画調整官

 

概要: 経済産業省では2021年3月に新たに水ビジネス市場の現状と課題等を整理し、今後の海外展開に向けた方向性を公表。海外の水ビジネス市場は新興国における経済成長や人口増加、先進国での更新需要を背景に拡大しており、日本企業のさらなる海外展開が期待される。今般の調査では日本企業の海外展開事例について現状を把握、課題等を整理し、関係者による有識者研究会での議論を踏まえ検討を実施。また、日本企業の参入対象国・地域についてもアプローチ方法を分析。資料の主なポイントを紹介する。


第2部「海外水ビジネスのトレンドと最新の技術トピックス ―エネルギー、環境、グリーン水素、脱炭素―」

 

1「世界の海水淡水化技術の課題と新たな挑戦」

講師: 栗原 優 様

NPO法人 JDA協会 常任顧問 東レ株式会社 顧問

 

概要: 逆浸透法による海水淡水化は、1961年のローブ・スーリラジアン膜の発明以来60年経過し中東中心に急拡大している。長年競合してきた蒸発法とRO法との比較は、RO法が70%となり、今後は新旧プラントとも、すべてRO法に置き換える方針となっている。プラントも50万トン/日から100万トン/日サイズの超大型プラント建設が続出している。技術的には、発電と造水の組み合わせで再生可能電力によるRO淡水化となってきている。造水コストもUS $0.3-0.5/m3となり手頃な価格になってきている。従来のエネルギー低減に加え、環境配慮のグリーンデサリネーション指向となり、資源回収のブラインマイニング海水淡水化とグリーン水素とを結びつけたプロジェクトなど新しい技術への挑戦が進行中である。

 

2「逆電気透析(RED)技術による海水からの発電・水素製造と山口大学ブルーエナジーセンターの紹介」

講師: 比嘉 充 様

 

山口大学大学院 創成科学研究科 教授

 

概要: 本講演では海水と河川水など、塩分濃度差の異なる塩水間に存在する塩分濃度差エネルギー(Salinity Gradient Energy: SGE)について説明する。このSGEを分離膜を用いて電力に変換する2つの技術:半透膜(FO膜)を用いて水を選択的に透過させることで発電する浸透圧発電(PRO)と、イオン交換膜のイオン選択透過性により発電する逆電気透析(RED)の原理を解説し、2つの技術を比較しながらこれらの特徴について述べる。その後、特にREDに焦点を絞って最近の技術動向を説明する。また山口大学ブルーエナジーセンター(BEST)とBESTで行われているSGE変換の研究について紹介する。

 

3「中空糸型BC膜・FO膜の開発 ~ブライン濃縮プロセスの低消費電力化~」

講師: 中尾 崇人 様

東洋紡株式会社 アクア膜事業部

 

概要: 概要:海水淡水化プロセスで排出される濃縮海水(ブライン)は環境への悪影響が懸念されている。そのため、無排水化(ZLD)やブラインを原料とした有価物回収が検討されており、ブライン濃縮は重要なプロセスとなる。現在利用可能な濃縮手法としては熱濃縮とRO膜を用いた膜濃縮がある。膜濃縮は相変化が不要で低消費電力であるが濃縮濃度が低い一方、熱濃縮は濃縮濃度は高いが相変化によって消費電力が高くなる問題点がある。そのため、環境を考慮したブライン処理、有効活用のためには低消費電力でかつ高濃縮が可能な技術が求められている。東洋紡(株)では相変化なく高濃縮が可能なプロセスに適用可能な膜としてFO(Forward Osmosis)膜とBC(Brine Concentration)膜を開発した。それぞれの膜・プロセスの特徴と適用可能性について紹介する。

 

4「ポンプ機器を通じてのサウジアラビアの造水・水道事業への貢献と今後期待されるイノベーション」

講師: 小野 博史 様

株式会社 酉島製作所 TGT統括マネジャー(韓国)

 

概要: 2018年〜2020年までサウジアラビアへ納入させて頂きましたポンプという製品を通じて、サウジアラビアの皆様と当地にて様々なお話をさせて頂きました。その一部を皆様へご紹介させて頂きます。サウジアラビアの方々の日本に対する期待、ポンプという媒体を通じてお聞きしたこと、私が感じたことなどをお伝え致します。その中に今後期待されるイノベーション、ビジネスチャンスが見付けることが出来るかも知れません。皆様のお役に立てれば幸いです。

 

5「海水および廃かん水からの有価物併産によるCO2固定化技術」

講師: 井上 智裕 様

株式会社ササクラ 水処理事業部 部長代行

 

概要: 2020年7月、学校法人早稲田大学、日揮グローバル株式会社と共同で提案した「海水および廃かん水を用いた有価物併産CO2固定化技術の研究開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に委託研究として採択されました。本研究では、火力発電所などから排出されるCO2を、海水および海水淡水化プラントの廃水である「廃かん水」に含まれるマグネシウムと反応させることで、炭酸マグネシウムとして固定化し、コンクリート製品の骨材などの部材として有効利用するまでの一連の技術の開発に取り組んでおり、その概要についてご紹介させていただきます。